わらいきオリジナル台本

「ボクとわたしが選んだ理由」  作:HIROMI

 

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<登場人物>

 ボク 

 わたし 

 ナレーション

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ボク  ここはどこだろう。見える景色は真っ白。フワフワして綿あめみたい・・あれ?

     綿あめって何?何でボク綿あめって知っているのかな?でも気持ちの良い所だ。

     あれ?下に人がいる?しかもみんな大人だ。

     大人って何だろう?下に見える人が大人ってことは良く分からないけど知っていた。

     でも、ぼくは・・何だろう・・・一人ぼっちはさみしいよ。

 

ナレ   眠りから覚めると真っ白な世界にいたボク。

     ボクはどこから来て、何のためにここにいるのでしょう。

     すると、白い霧が晴れる様にだんだんとあたりの景色がはっきりと見えてきました。

     一人ぼっちだと思っていたボクのまわりにはたくさんの子がいたのです。

 

ボク   一人じゃなかった。でも何でみんな下を見ているの?下に何があるのかな?

わたし みんな、パパとママを探しているのよ。

ボク   ふーん。そうなんだ・・何で?って君だれ?

わたし わたし?わたしはわたしよ。あなたと同じ。

ボク   わたしはわたしって何だよ。意味が分からないよ。

わたし じゃあ、あなたはだれ?

ボク   ボクは!!・・・ボクだよ・・・あれ?ボクは誰なの?

わたし フフフ・・あなた、ずいぶんのんびり屋なのね。

     みんなはここにいる意味や自分の存在、もうとっくに知っているわよ。

ボク   自分の・・存在・・?

わたし もう~、のんびりしていたら、他の子に先に越されちゃうから。

     簡単に説明してあげるわ。ここは天の世界。神様とわたしたち天使の世界よ。

     わたしたちは天使よ。上からこうやって下の世界をのぞいて、

     わたしたちのパパやママになってくれる人を探しているのよ。

     神様がそうしなさいって。でも、簡単なことじゃないわ。

     周りを見てごらん。同じ雲に乗っている子たちがいるでしょ。

     同じ雲に乗っているみんなの気持ちが一つにならなければいけないの。

     つまり、雲に乗っている全員の意見が一致しないと、パパやママには会えないってこと。

ボク   へえ~そうなんだ。つまりそれは、きょうだいになるってことなの?

わたし そうそう。のんびり屋さんにしては、のみこみ早いわね~。

ボク   へえ~。・・・ってきみ!ボクの雲に一緒に乗っているよね。

     ってことは、ボクとキミ、きょうだいになるの?

わたし 今さら何よ。そうだって、さっきから説明しているでしょ。

     あー何その顔!わたしじゃ不満だっていうの?

ボク   そーゆー訳じゃないけど、何だか不安だなぁ・・

     だってさっき初めて会ったばっかりだし、まだキミのこと何も知らないし・・

     気が強そうだし・・

わたし ねえねえ、あのママはどう?

ボク   って、ボクの話、無視しないでよ~。

わたし まだ何も始まっていないのに難しく考えすぎよ。それより早く見つけようよ。ワクワクしちゃう。

ボク   そうか。神様が決めたことなら、やるしかないな。

     パパとママって・・どんな存在なのかな・・・優しいのかな・・あたたかいのかな・・・

わたし 優しいとかあたたかいとか・・それをここから見て判断するのよ。

ボク   えー!

わたし 毎日、毎日、ここから見て、その人がどんな人で、

     どんな性格か自分と生活したらどんな家族になりそうか・・・って考えるのよ。

ボク   えー!その人が分かるまで見ていたら、何年もかかっちゃうじゃん。

わたし 神様が言っていたわ。「この人だ」と思う人にめぐりあったとき、その人は光輝くんだって。

     だから光輝いている人を見つけるのよ。

     見つけるというよりは、導かれるって感じらしいわよ。

ボク   すごいな~。神秘的な作業だね・・。

わたし まぁ。あまり難しく考えずに、とにかく探しましょう。

ボク  君は何て言うか、すごく、サッパリしている人だね。

わたし あなたは何て言うか、すごく、まじめなのね。でも、きらいじゃない。そういう性格。

二人  プッ。フフフ・・アハハハ・・。

ナレ  始めはギクシャクしていた二人でしたが、パパとママを探すことでお互いのことを良く知り、

     夢中になり、いつしかパパ・ママ探しより二人でいることの方が楽しくなっていたのでした。

ボク   アハハハ・・本当にキミのお話はユーモアがあって楽しいな。

     このまま、ずっと聞き相手でいたい位だよ。

わたし え~♪そう?でもあなたが聞き上手だから、わたしのトークが止まらないのよー。

二人  アハハ アハハ

わたし でも、そろそろ真剣に考えて決めないといけない時期かもね・・・

ボク   うん。それは分かっているよ。でも光って見えた人が何人かいたよね。

     どうしたら良いのかな? ねえ。どう思う?

わたし 光っていた人の中で、特に光っていた・・・というか、キラキラ見えた人いなかった?

ボク   たしかに。いたよね。皆同じように光っていたけど、

     その人だけは特にキレイに光っていた気がする。

     でも、そんな判断でいいの?

     キレイに光っていたからと言って、それが間違いのサインだったらどうするの?

わたし ネガティブに考えすぎよ。キレイに光っていたら、その人が一番に決まっているじゃん。

     ・・・でも、そんなルールがあるかどうか分からないけど・・・。

ボク   よし。じゃあ、今日一日見て決めよう。

わたし え?今日?もう少し見た方がいいんじゃない?

ボク   いや!今日、決める。いいね!!

わたし ハイ。

ナレ   のんびり屋と言われていたボクでしたが、二人で同じ時間を過ごすうちに、

      だんだんと自分を持つようになり、今では「わたし」を先導するようにもなりました。

ボク   あのキラキラ光輝いている人、やっぱり気になるな。

わたし いつも笑顔で周りの人に接しているね。でも、時々辛そうな顔をしているね。

ボク   うん。たくさんの笑顔に見えかくれしている、辛そうな顔は何だろう?

      もしかして病気なのかな?

      病気になると、人は元気になりたいから笑顔で生活するのだって誰かに教わったような・・・

      あの人、放っておけないよ。ボクが行って「何で辛そうなの?」

      って聞いてくるのはダメかな?

わたし それって、聞いてくるだけじゃ済まないでしょ。

     行くってことは、あの人をママに選ぶことよ。

     聞いてみて勘違いでした。じゃ済まないのよ。

ボク   それもそうだけど、でもどうしても放っておけない・・・

     というか、すごく気になる・・・というか・・・

     もし、病気だとしたら、ボクがそばにいることで、治してあげることが出来たら・・・とか・・。

わたし ねえ!!それが導かれるってことじゃない?

     神様が言っていた「光輝く人に導かれる」って。

     理由はどうであれ、あなたはあの人の事が気になり、心配し、

     そして自分が何か出来るかもしれないと言った。

     それが導きであり、めぐり逢いなのよ。きっと。

ボク   そうなのかな・・・

ワタシ そうよ。わたしたち、やっと答えが見つかった。

ボク   そ、そうか。じゃあ、この感覚がママ探しの正解なんだね。

     すごいよ。ホントにすごいよ。こんな感覚今まで味わったことないよ。

     ボク、あの人のそばにいたい。いてあげたい。これが正解なんだね。

     神様、ボクたちやっと見つけました。

     これからもっとワクワクする事が起きるんだね・・ね!ね!さあ、行こうよ! 

     って、あれ?どうした?嬉しくないの?

わたし 嬉しいよ。最高だよ。・・・でも、一緒には行けない・・。

ボク   何でだよ?毎日、毎日二人で相談して今日まで来たのに、どうしてだよ!

     何が気に入らないの?

わたし 違う。気に入らないんじゃない。

     わたしもあなたと同じ気持ちで今日までママ探ししてきたつもりよ。

     でも・・いよいよあの人に決めるってなった時、あなたには確かな理由があった。

      「放っておけない、ボクがそばにいることで、癒してあげることは出来ないか。」と。

     ・・でもね・・今のわたしには、分からないの。

     今は、あの人のところに行く理由が見つからない・・・。

ボク   どうして?意味が分からないよ・・・。

わたし ごめんね。 でも、もう少し、上から見ているよ。

     あなたと、ママを見ているよ。これからは、ママ探しじゃなくて自分探し・・ね。

     一緒に行かないってことは・・わたしはあなたの妹ってことね♪

ボク   い、いもうと??

     一緒に行くのが当たり前だと思っていたから妹だなって、考えたこともなかった・・。

わたし わたしだって最初は妹になるつもりなんてなかったよ。

     でも、あなたと一緒に過ごすうちに、妹であることも良いかなーと思うようになったの。

     わたしより先に行って、ママとパパと楽しい家族作っておいてよ。

     淋しい家族になっていたら、神様に言いつけちゃうからね!

ボク   わかったよ。じゃあ、ボクが先に行って、ママの赤ちゃんになるよ。

     あまり天の世界でのんびりしているなよ。早くこいよ。

わたし のんびり屋のあなたに言われたくないわよ。ね!お兄ちゃん。頑張って。

ボク   お。お兄ちゃん・・・か・・うん!じゃあ、またね!

わたし こうして、ボクは天の世界から人間界へおり、光輝くママのお腹へ入りました。

     それから10ヶ月後、ボクは何てお名前になるのでしょう。

     そして、時折辛そうにしているママのそばで、どのように癒してあげるのでしょう。

     この続きは、またの機会に・・・

 

     <Fin>